皇帝専用駅~シェーンブルン宮殿温室~ウィーン国立歌劇場
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皇帝専用駅(ドイツ語)
ウィーン国立歌劇場(日本語)
シェーンブルン宮殿を後にして、次は皇帝専用駅へと向かいました。あまり知られていませんが、19世紀末、ウィーンに鉄道が通った際、シェーンブルン宮殿近くに作られた皇帝専用の駅舎、ホーフパヴィリオン・ヒーツィングです。ちなみに、ウィーン市街からシェーブルン宮殿に来る際に用いる路線S4は、このとき作られた物なので、線路の横の壁や駅のところどころはかなり古い感じがします。
皇帝専用駅は、結構穴場に感じました。いわゆるウィーン世紀末、オットー・ワーグナーの設計ですが、先にあげた分離派会館やカールスプラッツ駅などが再生・修復されたものであるのに対して、この皇帝専用駅は明らかにオリジナルのままです。ほとんど訪れる人はおらず、私たちが訪れたら一人きりの係官が内部の照明を点けてくれました。特に撮影禁止とは言われなかったのですが、明らかに経年変化の進みつつある内装に気兼ねして、内部の写真は遠慮してしまいました。
続いて訪れたのは、シェーンブルン宮殿の西の端にある温室です。ウィーン王宮にあったものと同じく、こちらも世紀末建築です。中に入ろうかとも思ったのですが、閉館時間が近かったのと意外に料金が高かったので、入らずに帰ることにしました。
さて、今夜はウィーン国立歌劇場でヴェルディのオペラ「トゥーランドット」を観ます。この写真は、国立歌劇場入り口の天井です
ところで私たちは、このオペラのチケットをダブル・ブッキングしていたのでした。最初は4階端のボックス席の最後列、9ユーロ(約1,200円)という格安の席を予約したのですが、折角本場ウィーンで観るのにケチることはなかろう、というので最上の席(それでも169ユーロ、約2万円)を取り直したのでした。キャンセルはできないので、席を余計に確保したことになります。
そこで、思い切って開演前に使わないチケットを売ってみようか、ということになりました。国立歌劇場に早目に行って様子を見てみると、正面入り口から入ってすぐの右端のほうに指定席売り場があり、すでに何人か「Karten Suchen」(チケット求む)の紙を持って立っています。まずはその人たちに「Wir haben zwei karten」と声をかけてチケットを見せました。真剣な目つきでチケットを見てくれましたが、あまりの席の悪さに「No, Thank you」と言われてしまい、交渉不成立。しかたなく私らも「Ticket for Sale」と適当な紙の裏に書いてチケットと一緒に持ち、チケットを探している人たちと一緒にその場に立つことにしました。
通りすがりに何人かはチケットを見てくれるのですが、やはり席が悪くて買ってくれません。開場間際になり、こりゃ駄目かな、と思いはじめた頃、一人の女性がチケットを買う、と言ってくれました。しかし、その人はチケットは1枚しか要らない、と言うのです。私たちのチケットは連番の2枚。どうしようか迷いましたが、売れないよりは、と思ってチケットをバラにして、1枚だけその人に売ることにし、残り1枚をもって再び売りに立ちます。
すると、数分後に再びチケットを買いたい、という人が現れたのですが、なんとその人はチケットが2枚欲しい、と言うのです。こりゃ失敗した、バラにしなければよかった、と思ったのですが、後の祭り。1枚しかない、というとその人も残念そうにあきらめました。
すでに開場時間を過ぎ、人が続々と中に入っていきます。こんなところでいつまでも時間を潰すのももったいないし、そろそろあきらめようか、という話をしはじめた頃、先程2枚欲しい、と言って来た人が、もう1枚は他の人から買うから、1枚でもいい、と言ってくれて、無事2枚とも売ることができました。
チケットを売る、なんて初めての経験でしたが、なかなかスリリングで楽しい経験でしたし、何より2人とはいえ公演を楽しむ人を減らさずに済んで一安心。さっそく本来の特等席のチケットを手に、中に入ります。
特等席というのはここ、2階正面の所謂ロイヤルボックスです。それでも予約したのが遅かったので4列ある最も後ろの列の端っこでしたが、前列との段差が結構あるので、それでもオーケストラから舞台全部がよく見えます。さすがロイヤルボックス。
ところで、この写真にも写っていますが、前席の背中に液晶表示板があり、字幕(ドイツ語と英語)はここに表示されます。見たくなければ消せばよいし、実にスマートですね。
内部はこんな感じ。もっときらびやかかと思っていたのですが、意外と地味でした。もしかしたら第二次大戦後に再建する時に、装飾を避けたのかもしれません。ちょっと期待はずれでした。
公演はさすがに国立歌劇場。そつなくまとめて良い演奏をしてくれます。ちなみに、国立歌劇場のオーケストラというのは、ほぼウィーン・フィルハーモニー管弦楽団のこと。というか、正確にはオペラの伴奏がない時に手が空いた人が集まってオーケストラだけで演奏しているのが、ウィーン・フィルなんですね。ウィーン・フィル単体のウィーン(特に楽友協会)でのチケットを取るのはかなり難しいですが、演目を選ばなければ国立歌劇場のチケットなら比較的容易に手に入ります。
幕間に喫茶室にて。やはり装飾は見事です。