八ヶ岳高原の更紗灯台躑躅は、自生の群落としては日本でも最大級だそうである。
私が言う「八ヶ岳高原」とは、厳密には「八ヶ岳高原海の口自然郷」という別荘地で、昔の名称を「西武海ノ口自然郷」といった通り、西武百貨店系列のリゾート地として開発された。その中心となる八ヶ岳高原ロッジは、奇しくも今年の7月17日で開館30周年だそうだが、私が親に連れられて初めて訪れたのはその数年後、テレビドラマ「高原へいらっしゃい」の舞台となった八ヶ岳高原ヒュッテがまだホテルとして営業しており、八ヶ岳高原ロッジに至っては、所謂「新館」がまだなかった頃である。海ノ口自然郷の方針として、観光向け施設を極力作らない、ということがあり、ヒュッテ・ロッジや本業である別荘などを除くと、幾つかの遊歩道と自然の他には何もなく、大変落ち着いた別荘地である。
さて、前置きが過ぎたが本題の更紗灯台躑躅。数十本の樹が群生し、この時期、見事な花を咲かせてくれる。昨年は花が少なかったのだが、今年は見事に文字通り鈴生りに咲いてくれた。私の一番好きな花である。
夏草の露分衣着けなくにわが衣手の乾る時もなき
夏草乃 露別衣 不着尓 我衣手乃 干時毛名寸(萬葉集 巻十 1994)
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