平成18年10月15日 12時00分 大糸線 旧国鉄色キハ52系気動車
JR西日本管轄の大糸線は、旧国鉄色の気動車が走っていることで有名である。
旧国鉄は、JR化する少し前からローカル列車に地域に合わせた塗り分けを施すようになった。これは、JR化以降も継続している。より地域に密着した鉄道を、という気持ちからであろうし、中には優れたデザインもあるのだが、統一性が無い上、概ね地域性が一目で分かるというものでもないので、私はどうも好きになれない。同じように感じる鉄道ファンは多いらしく、旧国鉄色のまま運行している列車は、概して人気がある。
大糸線も、一時期地域色となっていたのだが、旧国鉄色に戻してから俄に脚光を浴びるようになった。地味なのだが、それだけに日本の風土に似合うのではないだろうか。朱色とクリーム色のこの配色は昭和28年のキハ10系まで遡るのではないかと思うが、確証はない。いずれにせよ長い間使われてきた配色である。私は様々ある国鉄の配色の中で、このツートンカラーが最も好きである。特に秋には、紅葉に溶け込んで美しい。
なお、旧国鉄色にも2種類あり、もう一つは朱色一色のものである。これは別名「首都圏色」とも呼ばれ、国鉄が不景気になってから合理化のために使われるようになった配色で、私は好きではない。何事に因らず、「合理化」の結果美しくなったものは、まず無いのではあるまいか。全く同じ結果に至るのであれば合理化も悪いことではないが、結果が変わってしまうのでは合理化とは言えまい。それは「手抜き」である。
君待つとわが戀ひをればわが屋戸のすだれ動かし秋の風吹く
君待登 吾戀居者 我屋戸之 簾動之 秋風吹
わが君をお待ちして恋しく思っていると、私の家のすだれを動かして秋の風が吹いて来る。(萬葉集 巻四 488)