安曇野、穂高町の満願寺は、躑躅で有名である。
急な階段の参道を登り詰めると、山門の右手にある境内が一面の躑躅園となっている。面積が広いばかりでなく種類も多い。何種類あるのか定かではないが、躑躅にこれほど種類があったとは、と驚くほどである。
この満願寺、縁起によると起源は古く、延歴十四(795)年には坂上田村麿が安曇野の八面大王を討伐する際に成功を祈願したという。それを知って気がついたが、寺の建つ地形が魏石鬼岩窟周辺の地形に良く似ている。以前から、魏石鬼岩窟は古来安曇野を支配していた安曇族が坂上田村麿に討たれる際、最後まで抵抗した終焉の地ではないかと勝手に想像しているのだが、その想像を更に進めれば、ここ満願寺に陣取った坂上田村麿は、似た地形を利用して戦闘訓練、今風に言えば戦闘シミュレーションを行ったのではないか、という気がする。もちろん単なる憶測に過ぎないのだが。
丈夫の踏み置ける足跡は石の上に今も残れり見つつ偲へと長く偲へと
麻須良乎乃 布美於〓留阿止波 伊波乃宇閇尓 伊麻毛乃己礼利 美都々志乃覇止 奈賀久志乃覇止(佛足跡歌 7)
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