懐古園の桜が満開となった。
懐古園と言えば、島崎藤村の『千曲川旅情のうた』「小諸なる古城のほとり 雲白く遊子悲しむ」で有名な小諸城址である。城が町よりも低い位置にある珍しい「穴城」で、千曲川を望む岩壁の上に位置している。自然の石を積み上げた石垣が独特の野趣を醸し出しており、いつ来ても不思議と落ち着いた気持ちになる。
懐古園の桜は初めて見に来たが、城址奥の馬場を埋め尽くす桜には圧倒された。写真は逆光で申し訳ないが、懐古園にしかないと言われる桜「小諸八重紅枝垂れ」である。赤味の強い花が周りの桜と異なり、一際目を引いた。
桜開花中は夕方から無料開放されて夜桜も楽しめたようであるが、帰りの時間もあって今年は見送ることにした。また来年の楽しみともなろう。
見渡せば春日の野邊に霞立ち咲きにほへるは櫻花かも
見渡者 春日之野邊尓 霞立 開艶者 櫻花鴨 (萬葉集 巻十 1872)
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