安曇野の冬を彩る風物詩の一つに、白鳥が居る。
毎年冬になると、千羽を超える白鳥がシベリアから渡って来る。普段は河川敷や田圃などに居るようだが、餌をやる時間になると、この犀川白鳥湖と、御宝田遊水池に集まって来る。犀川白鳥湖では、見物客自身が餌をやることが出来る為か、特に多くの人が集まるようである。対して御宝田遊水池は、天候が良ければ背後に北アルプスを望むことが出来る為、写真を撮るには良いようである。
白鳥と言うと、サン=サーンスの『白鳥』やチャイコフスキーの『白鳥の湖』に観られるように、物静かで美しい印象があるが、実際に目の当たりにすると、数千kmを渡る体力を秘めた迫力に圧倒される思いがする。餌を食べる様を見ると正に生存競争で、生きるとは何と浅ましいことか、という思いがしなくもない。尤も、それが生きるということの実態なのではあろうが。
人によっては気持ち悪く感じるかも知れないが悪しからず。
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白鳥は、古名を鵠と言い、鳴き声から来る呼び名だそうである。ただし、萬葉集には現れず、代わりに「しらとり」が用いられている。歌に詠む程、優雅ではないと思われていたということか、良くは分からない。
白鳥の飛羽山松の待ちつつそわが戀ひわたるこの月ごろを
白鳥能 飛羽山松之 待乍會 吾戀度 此月比乎(萬葉集 巻四 588)
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