ようやく宿願であった昴の撮影に成功した。と言っても、今まで単にその位置を知らなかっただけのことなのだが。
「昴」が和名であることは、少し星好きの人なら誰でも知っていることであるが、更に遡ると「すまる」即ち「統まる」であり、「御統」から来ているという説があることは、あまり知られていないように思う。かく言う私も、『星の方言集 日本の星』(野尻抱影、中央公論社)で、初めて知った。「ミスマル」とカタカナ書きにすると何だか外国の宝石のようだが、玉を糸で環状にした腕輪や首飾りを「御統」と呼んだとのことで、歴とした日本語である。ただし、「昴」の名が現れるのは平安末期以降のことで、それ以前は何と呼んでいたのか、明らかではない。
昴には、「昴満時粉八合」という俚諺がある。これは、昴が南中したときに秋蕎麦を播くと一升の蕎麦から八合の蕎麦粉が採れる、という意味で、秋蕎麦の播き時を示したものだそうである。
蕎麦の話が出たところでようやく信州らしくなってきたが、もう一つ付け加えて言えば、この写真は自宅のベランダからデジカメでそのまま(望遠鏡などは使わずに)撮ったものなのである。大気の澄んでいる信州ならではの写真ということで、ここに挙げるのを許して欲しい。ちなみに、撮影データは次の通りである。
・カメラ:Canon PowerShot Pro1
・絞り:F3.5
・シャッター速度:4秒
・焦点距離:51mm(35mmフィルム換算200mm)
・感度:ISO400相当
白玉の間開けつつ貫ける緒も縛り寄すればまた逢ふものを
眞玉 間開乍 貫緒 縛依 復相物(萬葉集 巻十一 2448)
前へ | 次へ |
Copyright ©2024 All rights reserved.