見事に晴れ渡った空には、北アルプスが映える。
実家のある長岡の風景と比較していつも違和感を覚えるのだが、雪の北アルプスと言っても、全山真っ白になる訳ではない。見ての通り、白く染まるのは標高2,000m位から上だけで、その下には青い山肌が覗いている。激しい雪の降る長岡では、大した山がある訳でもないのに、麓から山頂まで全山真っ白に染まるのが常だっただけに、この地に越してきて暫くの間は、いつになったら麓まで真っ白になるのだろうかと待っていたものである。結局これ以上白くはならず、春を迎えることになる。
快晴の安曇野で驚くのは、空気が非常に澄んでいることである。この日も南東の彼方には、100km近く離れた中央アルプスの山々がはっきりと見えていた。さすがに松本市街周辺は少しくすんだ感じになるが、やはり排気ガスなどの所為なのだろうか。
そういう訳で、私はカプチーノという軽のスポーツカーに乗りながら、アイドリングストップを実行している。マニュアルなので、慣れてしまえば何ということはない、信号が青になったらクラッチを踏み込みつつエンジンを掛けて、クラッチを繋げばスタートできる。その間、1秒も掛からない。
以前開催していた自分のブログに少し書いたことがあるが、実は信号待ちでエンジンを掛けっ放しにしておく方が、車には悪いのである。車は本来、走ることを前提に作られており、走行中、前から入ってくる風でエンジンルーム全体を冷却するようになっている。停車中はこの風が入ってこないので、エンジンを掛けっ放しにしておくと、エンジンルーム内がどんどん加熱されることになり、各部品の寿命が短くなってしまうのである。
アイドリングしないと車に悪いと信じ込み、走行前後に必ず15分以上アイドリングしていた知人の車は、9万km位走ったところで車載コンピュータが熱暴走し、アクセルが全開のまま戻らなくなって廃車となった。幸いその車もマニュアルだったので、咄嗟にクラッチを切ってギアをニュートラルに入れることで、道路脇に無事停めることができたが、スイッチをオフにしてキーを抜いてもエンジンは全開のまま止まらず、結局JAFの人がプラグへの配線を外してようやく止まったそうである。これがオートマ車だったら、果たしてその知人は生きていたかどうか、怪しいものである。
アイドリングで唯一傷む部品は、セルモーターである。先日JAF会報誌に載っていたが、セルモーターの寿命は約6万回だそうで、仮に1日10回アイドリングストップしたとして、1年で3,650回。6万回と言うと、16年は使える計算になる。果たして16年間同じ車に乗り続ける人がどれだけ居るか。よしんば16年乗ってセルモーターが壊れたとしても、その時はセルモーターだけ交換すれば済む話である。交換するかどうかもわからない部品一つを守るために、車全体を痛めつけることはなかろう。
今までなんとなくアイドリングストップしてこなかった人は、できれば今日からでもアイドリングストップしてみて欲しい。ガソリンが節約できて車の寿命も延び大気汚染も減らせる、一石三鳥で何も悪いことがない。車を愛するものの一人として、これ以上車が悪役に祭り上げられるのは、堪え難いことなのである。
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