今年は春になってから冷え込みが続き、梅や桜の開花が遅れた。
何しろ21日には雪が降った程である。さすがに四月も半ばを過ぎての雪は珍しい。寒さで開花が遅れた分、梅も桜も同時に花開き、正に春爛漫の風景となった。
安曇野では、光城山を除いて特にこれと言って名高い桜の名所は無いが、通勤途上の至る所に桜の大木や並木があるので、この日、それらを見に安曇野を巡った。
桜では、昨年も取り上げた旧堀金村の桜並木や、黒沢川堤防の桜並木が目立つ所だが、山近い田多井のあちこちに見られる桜の大木を追いかけている内、迷いこんだ山裾で見事な紅白の梅畑を見つけた。人に見せるための梅では無いが、色鮮やかな花の向こうに美ヶ原の王ヶ頭が望める。
桜の名所も悪くはないが、人に知られずひっそりと咲く花を愛でるのも、花見として中々乙なものだと思う。
沫雪に降らえて咲ける梅の花君がり遣らばよそへてむかも
沫雪尓 所落開有 梅花 君之許遣者 与曾倍弖牟可聞
あわ雪に降られて咲いた梅の花をあなたの許にあげたなら、あなたはこれを沫雪と御覧になるでしょうかしら。(萬葉集 巻八 1641)
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