朝霧に浮かぶアルプスは、去年に続いて2度目になる。
朝起きて外を見ると、霧が立ち籠めている。だが空は明るい。天気予報は晴。さては、と思い、一時間も早く家を出て長峰山に向かった。登るにつれて霧は薄らぐものの、山頂に着いてもまだ空が見えなかった。慌てずにカメラの用意をして待つこと3分、見る間に霧が晴れて、予想通りアルプスがその上に姿を現した。
アルプスを望む高台はいくつかあるが、長峰山はおそらくその最高の場所であろう。山自体は933m(麓との標高差は約360m)と低いのだが、山頂のアルプス側が急な傾斜となっているうえ樹が刈り払われているので、高所恐怖症の人は足がすくむのではないかと思われるほど高度感がある。安曇野の観光というと得てして平野部を中心に周ってしまうが、天気の良い日には足を延ばして見るのも良い。お薦めは、アルプスに日が当たり空気も澄んでいる午前中である。
妹に戀ひわが越え行けば背の山の妹に戀ひずあるが
妹尓戀 余越去者 勢能山之 妹尓不戀而 有之乏左
恋人を慕わしく思って背の山を越えて行くと、(妹山は目の前にあり、)背の山が遙かに恋いこがれることもなくているのは、全くうらやましいことだ。(萬葉集 巻七 1208)
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